アパート・マンション建築までの流れ

 

業者を決めれば、それで土地活用は終わりではありません。

実際に、建築業者を決めて契約書を交わせば、あとは銀行口座にお金が振り込まれるだけというわけではありません。

 

ここでは、具体的に土地オーナーが、業者を決定してからアパートを建つまでの具体的な流れを説明します。

 

また、アパートが建築してからのする仕事は、マンション経営者の普段の仕事をご覧ください。

 

 

2013年5月

(1)建築業者との契約

(2)測量業者と測量の方法の打合せ(5月22日)

いつから、正式に測量を始めるのかを、打合せしました。

(1)測量の挨拶には施主もいくのか、いかないのか?

(2)測量当日の立会は施主もするのか、しないのか?

 

両方とも、立ち会うことにしました。

(所要時間 1時間)

 

 

★コメント

隣の敷地にまたがってアパートを建ててしまったら、トラブルの元です。

また、このときに近隣の方には、

「お時間取らせて、申し訳ありません」と一言伝え、

粗品などをお渡しすることをお勧めします。

 

近所住民とは、仲良くすべきです。

 

場合によっては、立ち会えない場合もありますが、

業者に気持を代弁してもらい、良好なご近所関係を構築するよう留意します。

 

トラブルを避けるために、測量をすべきだという業者もあれば、安く住ませるために、測量せずに着工する業者もあります。

だいたい測量費は30万円以上です。

 

たいてい建築業者が、お抱えの測量士を紹介してきます。

このあたりは、相見積もりするのも一つの方法です。

ただ、近所とのトラブルになるようなガサツな業者は避けたいところです。

 

心配な方は、ご相談ください。

 

2013年6月

(3)測量の結果の確認と、測量立ち会いの日取り決定 (18日)

・測量の結果、隣地との境界で一部、相手方のフェンスが当敷地にまたがっている箇所があった。アパートのフェンスを作る際にどうすべきか、測量立ち会いのときに、確認することにした。

・測量の立ち会いは、来週の土日(6月29、30日)を予定することにした。相手側の都合によるので、何人かは別の日になる可能性も高い。

・立ち会いしていただく、隣地の所有者(または代理人)にお礼の品を渡すことにした。

 

所要時間 30分

 

(4)測量の立会 (29日)

・アパート建設予定地の測量にあたり、近隣の方にも立ち会っていただきました。

・わざわざお時間をとっていただいた隣地の所有者には、お礼の品をお渡ししました。

・当日は、建築営業の方も同席し、粗品をお渡ししました。

 

所要時間 2時間

 


 

・建築するときに、境界がはっきりしていないと、フェンスを構築する場所を決めることはできません。すでに土地のすべての角に測量の杭があればよいのですが、そうでない場合は、測量の必要性がでてきます。

 

・通常では、土地の両隣や背面など4人程度と、道路所有者(公共団体)との境を明確にします。

 

・土地所有者との立会日程の調整、事前挨拶など測量事務所がやってくれます。

 

・近隣の方には工事などで、今後ご迷惑をおかけすることを考えると、測量士さんがあまりにぶっきらぼうな人だと、悪い印象を与えかねません。建築業者の紹介では、悪い人はいないと思いますが、料金と人当たりの両方を気にする方が良いと思います。

 

・また、休みの時間をいただくわけですから、お礼の品をお渡しした方が、良い印象を与えると思います。通常は、洗剤とかの日用品や、お菓子などが良いかと思います。もちろん、あげなくてはいけないわけではありません。しかし、今後のお付き合いを考えると、気持の印をなにかをお渡しする方がベターだと思います。

 

・この手土産代は建築コスト(経費)として計上できますので、領収書は保管しておいてください。

 


2013年8月

(5)建築プランの改善の商談

実は、今回のアパートは、ある業者で建築することが決まっていたのです。

競争原理が働かない中で、できるだけコストパフォーマンスの高い物件を目指して7月から商談を重ねていましたが、最終提案の建築費が高騰していたため、最後の商談をしました。

 

建築は、建てる前までは変更もできますし、中止もできますが、通常契約をかわせば、もう、そのまま進んでしまいます。

 

この利益率では、契約できないという話をしに行きました。

目標の利益率になる建築費を提示して、歩み寄りがなければ、破談となります・・・・

 



ホームページをごらんの皆様へ

 

やはり、アパート経営は、建築前の段階でほぼ結果は決まってしまいます。当初の建築費、間取りや住宅設備など、後から変更はできません。

 

契約前に、納得するプランをとことん追求してください。

分からない点があれば、是非、相談してください。

 


2013年9月

(6)融資審査

 アパート建築資金の借入のために、都銀と地銀と農協へ建築プランを見せに行きました。

 木造のアパートなので、減価償却期間の22年以内の返済という金融機関もあれば、30年まで大丈夫というところもあります。

 いずれにしても、最初の特約期間の金利とその後の金利と両方考慮しなくてはなりません。

 

 10月の上旬には金利の返事がありますので、それまで、待つのみです。

 

 建築資金は、着手時、棟上げ時、完成時など3回に分けて業者に支払います。一部の金融機関では、最初に全額借入となり、その間も使わない資金にも利息がかかるところもあります。

 ちょっと、難しいですが、中間金の扱いや、期中返済、特約後の金利など十分に吟味しなくてはいけません。

 

 

 

融資の確認は、早めにしないといけません。

今回の物件は資金的なメドがたっていたので、このタイミングでした。

建築業者は、資金のメドがないと着工しませんので、業者のほうから、

「いついつまでに、借入先を決めてください」と言われます。

 

 

 

(7)建築業者との契約

 9月30日、建築業者と契約しました。

 

 実は、当初プランのコストの折り合いがつかず、違うプランに変更となりました。ほぼ、9月の中旬に建築計画が決まり、引渡は2月末の予定です。

 しかし、万が一、来年の4月以降の引渡になると、消費税が上がりますので、9月中に契約しました。

 

 ご存知の通り、9月中に契約すれば、4月の引渡でも消費税は5%です。

 

 通常では、借入金融機関の確認がないと、契約できないという業者が多いです。建築業者は、「建築しても支払ができない」ということを避けたいからです。

 

 

2013年10月

(8)借入金融機関の決定

 金融機関を決定しました。

 3年間の固定金利のプランとしました。

 

 今後の経済状況を考えると、さほど、金利が高くならないという判断です。金融機関を決めるポイントは、最初の固定期間の金利だけでなく、その後の金利の優遇がポイントになります。

 

 多くの建築業者では、当然のことですが、資金のメドがつかなければ、着工しません。早めに金融機関を決定する必要があります。金利決定の調査までに、2週間以上、契約してから融資がおりるまで、2週間以上必要です。

 プランが決まり次第、融資を決めなくてはなりません。

 

 通常、(1)着工のとき、(2)中間、(3)引渡し、と3回に分けて資金が必要となります。

 金融機関によっては、着工のときに全額貸付するところもあります。その場合、不要な資金まで早く借り入れることになり、その分金利がたかくなります。その他、こまかいことは、金融機関によって違います。

 

 

 

(9)地鎮祭

 地鎮祭を行いました。

 神主さんへのお礼は、名古屋では2万〜3万円が相場ですが、地域によっても、異なるでしょう。地鎮祭は建築業者がセットしてくれます。相場についても、建築業者に尋ねれば良いでしょう。

 

 通常、30分くらいで終了します。

 

 

(10)近隣挨拶

 ご近所への建築のあいさつに行きました。建築中の騒音や、車の出入り、水道工事のときには断水することもあります。このように、近隣の住民には迷惑をかけることになります。

 やはし、最初の挨拶は大事なことだと考えます。

 

 建築業者だけで済ます場合もありますが、自宅から近隣の場所の場合は施主自ら挨拶されたほうが、感じが良いでしょう。

 

 手土産についてのアドバイスは、お問い合わせください。

 

 

 


(11)一次金の支払

 建築業者へ一次金を振り込みました。

 

 多くの建築業者では、数回に分けて資金を振り込みます。

 

 ①着手金・・・・契約のときに支払います

 ②着工時金・・・・工事を始めるときに支払います

 ③上棟時金・・・・建築材料を発注し、建築が始まる頃支払います

 ④完成時金・・・・建物引渡のときに支払います

 

 

 通常、着手金は100万とか、建築費の1%とかの金額になりますので、

手持資金を使用することが多くなります。

 

 ②〜③の割合は、今回の業者の場合は、次の通りでした。

 ②着工時金 1025万円(10月25日)

 ③上棟時金  730万円(12月25日)

 ④完成時金 1975万円( 2月28日)

 

 


 借入金で建築する場合は、②の着工時金の支払の前に、融資が確定しなければなりません。

 金融機関が融資するためには、審査のための時間が必要となります。金融機関を決定してから1ヵ月程度、時間がかかります。

 

 審査には、建築業者が作成する収支計画書と、個人的資産の分かる書類を提出します。計画と資産からリスクを見込んで、融資の利息が決まるという感じです。

 

 



 家賃が支払われるのは、入居が決まってからなので、今回のプランですと、3月からということになります。

 しかし、資金はその前の10月から必要となります。

 

 金融機関によって全額を10月25日に融資して、総融資額に金利が掛かるという場合もありますし、必要な分だけし腰ずつ融資してくれるところもあります。

 なお、金利は必ず発生しますが、元金の支払は、家賃の入金に合わせて返済することが可能です。

 

 


(12)着工

地鎮祭のあと、古屋の解体が始まりました。

これから、工事が始まります。

 

 

 

 

2013年11月

(8−1)融資審査の書類提出

 融資の審査のための、書類を提出しました。1時間ちょっと掛かりました。

 

 通常では、もっと、早い時期にするべきことなので、項目番号を(8−1)としました。

 着工時の資金に間に合わせるためには、その1ヵ月前にするべき作業です。

 今回は、着工時金は手持資金で対応しましたの、この時期にしたということです。

 

 必要書類は、印鑑証明2通、住民票1通、固定資産税課税明細書、建築計画書、などです。

 

 


 中間金を手持資金で支払った場合に、全額を借入できるか?

 

 今回のように、着工時金を手持資金で支払った場合、アパート資金として「①全額借入できる」「②残りの支払の金額のみ借入できる」のどちらでしょうか?

 

 たとえば、十分な資金がある場合、中間金の利息がもったいないので手持資金を使用し、引渡のときに全額借入するという作戦も考えられます。

 

 これに対して、金融機関によって全額を融資可能な機関と全額融資が不可能な機関があります。

 融資は本来は、融資目的と違う用途には使えないという原則があるため、対応が変わってくるようです。

 



(8−2)融資実行

今回は、着工時金は手持資金を利用しましたので、この時期になりました。

 

(13)ガス、水道等の申請書 署名捺印

 ガスの引き込みや、水道の引き込みなどの契約書に捺印しました。

 上下水道の申請など、建築業者が代行してくれますが、契約者としての署名、捺印などが必要です。

 この代金は、建築費に上乗せされて(最初から計画に入っています)、最終的に建築業者から請求がきます。業者によっては、立替金として書面が必要になる場合もあります。

 

 この書類はすべて業者が用意してくれますので、署名と捺印をするだけで終わります。(所要時間15分)

 

 

 ガス配管工事など、自分で見積もりしたほうが安い場合もあるかもしれませんが、建築業者との連携に慣れている業者にしたほうがベターだと考えます。理由は、(1)工事がスムーズにいく、(2)問題が発生した場合に建築業者に苦情を言えば対応してくれる、からです。

 

 

2013年12月

(14)アパート名の決定

アパート名を決定しました。

入居者募集するときには、建物の名前が必要ですし、アパート名はエントランスや外構に名前を入れる場合があります。

 

最初はシエルコートにしようと思いました。シエルはフランス語で「空」ですが、「空室」につながると嫌なので却下しました。

 

アパート名の候補はたくさんありますので、ご相談ください。

 

(8)ー3 担保設定の書類捺印

融資を前に、抵当権設定の書類を作成します。

司法書士さんと同席して(本人確認)行います

 

基本的に、アパート建築で融資を受ける場合は、土地と建物の両方に担保設定します。まず、土地に担保設定して上棟時金を融資していただきます。

建物完成時に、全額融資となりますが、このときに建物も担保になります。

つまり、担保設定は2回あるということです。

 

必要書類等は、印鑑証明書、実印、預金通帳、通帳印、登記識別情報(土地の権利書)、身分証明書(免許証)などです。印紙代も必要となります。

 

 

(15)外壁の決定

最初の計画で、外壁(サイディングやタイルなどの仕様)を決める場合も多いのですが、今回は、この時点で決定しました。

 

多くの業者では、施主の好みで色などを選択できるようになっています。

今回も同じ価格帯の中から自由に選べました。

オフ白ベースの、明るいイメージにしました。

 

外壁のカラーは、そのときの時流のものを選ぶのが基本です。

(業者はある程度、最近の入居率のデータを持っています)

 

自分の好みで決めても問題はありませんが、

(1)入居者に選ばれるもの(単身用なのかファミリー用なのか考える)

(2)地域住民に喜ばれるもの(街並も考える)

という意識は必要です。

 

 

1月

(16)追加工事の承認と契約

 アパートの隣地の方から、「入居の視線が気になるので目隠しをして欲しい」という要望が寄せられました。

 北側のガラスを曇りガラスにしていたので、大丈夫かなと思っていましたが、地域のトラブルはできるだけ避けるのが賢明です。

 

 ここで友好的な関係をつくらないと、あとで入居者のゴミや騒音、駐車などのトラブルがあった場合に感情的になってしまいます。

 

 そこで追加工事をすることにしました。金額は10万円以下です。

 

 追加工事の契約書に署名捺印しました。

 

(17)内装工事の確認

断熱材を充填した段階で、一度、内装の確認をしました。この後、壁とクロスを貼ると、中は見えなくなります。

 


2月

(18)最終融資の手続き 2月24日

建築業者から引渡の日程が2月28日(当初予定通り)と連絡がありました。建物の引渡と同時に、次のことをしなくてはなりません。

(1)全額の払込をする

(2)建物への抵当権設定

事前に金融機関に出向いて、各書類に署名などをします。

 

私は、払込は前日にしました。また、建物の抵当権設定する前に、表示登記が必要となります。通常建築情報を知っている建築業者紹介の司法書士が行います。その表示登記に対して抵当権を設定します。こちらは金融機関から紹介の司法書士の方にお願いすることが一般的です。もちろん、自分で選ぶことも可能です。

 

(19)引渡し

 

 ここでは、仕様の通りにできているかを確認します。通常、仕様通りにできているものです。

 自主管理の場合は鍵の引渡もありますが、今回の場合は建築業者の子会社が管理しますので、鍵の引渡もありません。よく、ドラマで大家さんに開けてもらうシーンがありますが、今回のケースではそういうことはできません。

 

 今回の検査では、キッチンのステンレス天板にちょっとしたバリが出ていたので、修繕を依頼しました。入居者が手を切ったりする可能性がないとも言えませんので。

3月

(21)抵当権の設定の完了

(1)表示登記

 建物が完成すると、まず表示の登記をします。建築業者の紹介の司法書士さんでお願いしました。

 

(2)所有権、抵当権の設定

 表示登記が終わると、次に所有権を登記し、その次に借り入れた金融機関の抵当権の設定の登記をします。

 したがって、登記が完了するのは、完成後になります。

 所有権、抵当権の設定は、金融機関の紹介の司法書士にお願いしました。

 

 事前に見積もりをとって高いと感じる場合は、自分で直接司法書士を頼んでも問題ありません。地場の建築業者などは、紹介料などのキックバックがあったりして、嫌がられる場合もあるかもしれません。

 

6月

(22)固定資産税評価と不動産取得税の調査

(1)固定資産税の評価

 

 建物を所有すると固定資産税がかかります。この固定資産税は名古屋市の職員が評価します。通常の住宅の場合は直接内部を測量したり、設備を確認しますが、賃貸住宅の場合は既に入居者がいるために、建設時の資料に基づいて固定資産税を評価します。5月にささしま市税事務所から連絡があり、6月3日に書類をお渡しする約束をしていました。

 毎年1月1日の所有者に対して課税されますので、来年度からの課税となります。

 

(2)不動産取得税

 

 建物を取得すると、不動産取得税が課税されます。この課税額は固定資産税評価を基準価格とします。市税事務所の方が申告書をもってきますので、住所と名前をかけば、あとは市税事務所の方が作成して提出してくれます。