土地活用について「基本的な考え方」「基礎知識」をご紹介します。
①土地活用は事業です
②どれほどの収益が見込めるか(名古屋市郊外の事例)
③どのような土地活用方法があるのか
④土地活用のメリット、デメリット
⑤一括借上げなら安心か?
⑥建築業者との付き合い方
⑦相続対策としての土地活用
⑧土地活用用語解説
なお「初めて土地活用を考える方」「法人様、事業を行っている経営者様」にもメッセージがあります。ぜひご覧下さい。
建築業者から「土地活用をしませんか」と営業されたことはありますか? まるでアパート・マンションを購入するお客様扱いですが、あくまでも、自らが不動産賃貸経営の事業主であるということを忘れないでください。
土地活用の事業は、①建築業者、②客付け業者(管理業者)が、事業に協力をしてくれるので、何もしなくても利益を生むことも多いのも事実です。
しかし、その一方で想定どおりの家賃収入が得られず、借入の返済がままならないという場合もあります。借入の返済のために土地を手放すことにならないよう注意が必要です(土地を手放しても借金が残ることも・・・)。
無理な事業プランでは行き詰ります。長期的な視点、 しっかりした事業計画、リスクの把握が大事です。
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立地によって異なりますが、賃貸マンション、アパート、高齢者福祉施設などの事業は、総投資に対して家賃収入は6%~12%といったところでしょう。ただし、経営の安定している大手業者で建築・管理をすると収益率は6%〜8%程度というのが現実です。
幹線道路沿いなどのコンビニ等の商業施設は建物建築費が安いのでさらに高収益が期待できます。
このように、家賃収入を総投資額で割ったものを単純利回り(表面利回り)といいます。物件のパフォーマンスを見るときには単純利回りが一つの目安になります。
実際には、家賃から管理手数料や修繕費を差し引いたものが収益となります。
賃貸マンション・アパートでは、建築費などの総投資に対しては 6%~12%ほどの家賃収入が見込めます。
ミドルリスク・ミドルリターンを基本にして、「より安全を高 める」「より収益を高める」など事業の方向を選定をします。
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1億円の建築費で、単純利回り8%だと年間家賃収入は800万円、管理手数料などで10%だとすると収益は720万円です。
建築費1億円を金利2%30年返済で借入した場合、年間の返済は444万円。差し引きの手取り(キャッシュフロー)は、276万円です。
これが、新築直後のもっとも儲かる場合の金額です。
実際は、空家があれば、その分の家賃は下がります。たとえば、入居率95%であれば、家賃が800万円→760万円となります。
建物が老朽化すれば、家賃の低下、修繕費の高騰が考えられます。
しかし、全額借入の場合、何もしない土地に、自分のお金を全く使わなくて10年後には2000万程度の貯金ができると考えれば、なかなかのものです。→土地の評価が高い名古屋市内では100%借入も可能ですが、土地評価の低い郊外の土地では担保の評価により、借入金額に限度があります。
【注意】 この説明は、大まかなものです。実際には固定資産税の増加、所得税の納税なども考慮しなくてはなりません。
事業のポイントとして、①将来的な入居者の獲得が見込めるか、②初期投資はできるだけ押さえたい、③堅実な管理/修繕の体制、この3つのバランスが大事です。安く作っても入居者が入らないので経営になりません。
事業のポイントとして、経営の安定性を重視します。
コンビニや飲食業などの商業を営む業者は、幹線道路沿いや駅前などの交通量が多く集客が見込める立地を探しています。いい立地は少ないので賃貸住宅よりも高い収益が見込めます。
その一方で、郊外の幹線道路沿いではコンビニやレストランの空き物件を見かけることも多いと思います。最初の業者が退店した後は高い収益は見込めません。
そこで、事業の安定性を重視しなくてはなりません。まずは入居する業者の選定です。つぎに、長期契約や建設保証金(敷金)などの条件をつけて、早期撤退のリスクに備えます。
高齢者の増加や自宅介護の現象により今後も需要が期待される分野です。通常の賃貸住宅よりも高い収益が見込める場合があります。
その一方で、事業者は事業実績が短いため実績が分かりにくく事業者選びがやや難しいといえます。一番のリスクは高齢者を残したまま事業者が廃業することです。新たな業者を探せば条件は悪くなるでしょう。
社会貢献事業だといって事業を強引に進める建築業者もあるようですが、しっかりした事業プランを検討しリスクを把握しなくてはなりません。
どの土地活用にしても、長期的な視点をもって検討することが大切です。
アパートマンションでは将来的にも入居が見込めるかどうか? 商業、福祉施設では長期的に安定した経営が見込めるか?
入居者がいなくなれば、収益はなく返済だけとなります。
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土地活用のメリット
1.建築業者、管理業者、客付け業者などサポートする業界がしっかりしている
2.自らが働かなくても、収益が生まれる
3.自己資金が少なくても、銀行融資が受けられる
4.相続税対策として効果が高い
土地活用のデメリット
1.一度始めたら、事業の変更は難しい
2.予定通りの収益がでない場合がある
①金利の上昇(借入金返済の増加)
②入居率の低下、家賃の低下
③修繕費の増加、ニーズの変化
3.すぐに売却することは多額の損失となる
4.借入して土地が担保の入っていると、相続税の支払のときに、
物納ができない。
売却のシュミレーション
土地100坪(時価8000万)の土地に、200坪のマンションを建設 マンション建設にかかる総投資は1億6000万、家賃収入は1200万とします。
このマンションを売却すると、収益率8%の売却額で算出すると、 わずか、1億5000万円 (収益物件の売れ筋は8%〜10%が現状です。10%なら1億2000万です)
土地代も含め総額2億4000万の資産を早期に売却すると わずか1億5000万になってしまうのです。
借入残が1億5000万あれば、 建築費を返済して、何も残らない。つまり土地がなくなったということです。
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不労所得といわれるように自ら働かなくても収益を得ることができます。
その一方で、計画通りの収益が生まれるのか、よく検討しなくてはなりません。
業者の計画は理想論の場合が多いのです。新築時の家賃が、長期的に保証されるわけではありません。
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家賃収入が減少するリスクが心配
長期の家賃保証なら安心
では、一括借上げなら安心なのか??
しかし、実際の一括借上げは、空家保証するだけです
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一括借上を30年保証しても、家賃は低下します
さらに、借上げのためにリフォームを強制する業者が多いのです
しかも、そのリフォーム代金は最初の収支計画には盛り込まれていません
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このように、家賃収入低下のリスクがないようなセールスコピーで、
「一括借上なら空室のリスクがなくて安心」
と、すりかえてアピールする業者には注意が必要です。
多くの保証は、建設業者側が損をしない仕組みになっています。詳しく知りたい方は、御相談ください。
一括借上げは、家賃を長期保証するものではありません。
まぎらわしいセールスコピーとして使う業者が多いので気を付けましょう。
多くの業者では、2年ごとに交渉して実績に連動します。 つまり、入居率が低ければ、それなりの家賃となります。
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①大手ハウスメーカー系
強み
・経営母体が安定している、知名度がある
・一部の業者は、商業施設と関係が深く誘致する力が強い
・施行後の管理がしっかりしている(それなりのコストがかかる)
・企業の倒産リスクが少ない
弱み
・一般的に価格は高水準である
・自社の規格を押し付ける傾向にある
②大手賃貸住宅建築メーカー
強み
・顧客ニーズをつかんでおり高い入居率が見込める
・建物管理、入居管理を自社で保有するか、専任業者とのパイプが強い
・客付け力が高い
弱み
・商業施設などと賃貸住宅との総合的な比較、提案は弱い
③中堅建築メーカー(管理部門を保有しているクラス)
強み
・建築コストが低い(初期投資が押さえられる)
・地元の情報に強く、地元業者とのパイプがある
弱み
・客付け力がやや劣る業者がある
④地元建設業者、工務店
強み
・建築コストが低い
弱み
・顧客ニーズ、長期的な展望が弱い
・建設後の管理が弱い
・経営が不安定
業者も大事だが、最初は営業担当者選びが大事
・建築営業は、高い歩合報酬でガツガツしている人も多いものです。
・余裕のある営業をする人もいますが、なかにはそうでない人もいます。
・いろんな不安にたいして、誠実に対応できる人でなければ、無理に商談を
進めないほうががよいと思います。
業者の特徴を知るためには、複数の業者と話してみることをお勧めします。
また、業者の中でも営業担当者の当たり外れがあります。 一部の業者では営業に高額の歩合報酬を設定している場合が多く、必死の営業をしてくることがあります。
納得しないまま絶対に契約しないように。 断固とNOと言いましょう。
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業者と直接交渉をするのが苦手な方は、ご相談ください。
不安を一人で抱えないようアドバイスいたします。
コーディネーターとして間にはいることできますし、
オーナー様に替わって営業活動をお断りすることもいたします。
土地を所有している方にとっては、もっとも有効な節税対策のひとつです。
ただ、節税した後、事業として成り立たねば意味がありません。