収益計算書(収支シュミレーション)とは

注意して読む必要があります!
注意して読む必要があります!

建築業者は、賃貸住宅を建築した場合の収入と支出を計算したものを見せてくれます。

 

これらは業者によって、様々な呼び方をしています。

・収益シュミレーション

・損益計算書

 

まあ、名前はいろいろですが、家賃収入から借入金を返済して、いくらのこるのか? つまり、手取りはいくらなのかを計算したものです。

 

実は、収支計画の計算の仕方が、業界で統一されていません

したがって、業者によって計算の方法が違いますので、単純に手取金額を比較して、どちらの業者のほうが儲かるとは、言い切れないので注意が必要です。

 

どの業者でも、収支を良く見せようとしたいのですが、露骨なところと控えめなところがあります。

 

収支シュミレーションの通りにはいかないことを、キチンと説明してくれる業者が多いのが実情です。

 

収益計算書の読み方

収益計算書は、正直言って、「眉唾(まゆつば)」です。

実際に、その通りにはなりません。

 

自分でシュミレーションし直す必要があるくらいです。

つまり、それくらいの心構えで注意深く読まなければなりません。

 

担当者の言葉を鵜呑みにはできないのです。

 

この収益シュミレーションは、契約書ではなく説明用の資料です

なんの責任も持っていません!!

 

 

 

収入の項目の「落とし穴」

収入の項目は、

①家賃収入

だけです。

 

まず、この家賃通りの収入はあり得ません。


 

①老朽化による家賃低下

 

多くの業者が30年、あるいは40年間、新築当初の満室家賃のまま、

ずっと収入がある計算になっています。

 

まず、これは、大間違いです。

 

築20年のアパートと、新築アパートが、同じ家賃なら、入居者は新築を選びますよね。

 

せいぜい、10年間は同じ金額でも、20年、30年後も同じ金額ではないはずです。

 

★自ら、シュミレーションするなら

 

10年目以降は、家賃が95%、15年後以降は90%、

20年後以降は85%、25年後以降は80%、30年後以降は75%

 

 

 

②退去後、次の入居者の家賃が発生するまでの空家期間が考慮されていない

 

通常、賃貸住宅では入居したあと何年かすれば、転勤や家族構成の変化(結婚、出産、子供の入学など)、持ち家の購入などの理由で退去します。

 

退去のあと、部屋をクリーニング等して次の入居者が入居するまで、少なくても2週間は家賃が入りません。

場合によっては、2〜3ヵ月かん空家になることもあります。

 

したがって、入居率100%でシュミレーションすること自体、本来はあり得ないと言えます。

完全一括借上で、間断なく100%家賃収入がある場合は別として、空家率は計算すべきです。

 

★自らシュミレーションするなら

 

たとえば、12戸で考えてみましょう。

 

(1)「2年で退去する」とすれば、1年に6戸が入れ替わります。

 

(2)入退去の間に「1ヵ月」の空家期間があるとすると、

   1ヵ月×6戸=6ヵ月分家賃

   6ヵ月分の家賃空白期間が発生します。

 

(3)満室の家賃は、

   12戸×12ヵ月=144ヶ月分の家賃

   しかし、実際は6ヵ月分の家賃は入りませんから、

   144ヵ月ー6ヵ月=138ヵ月分の家賃です。

 

   これは、満室家賃と比べると、

   138ヵ月÷144ヵ月=0.958=95.8%

   となります。

 

   もし、次の入居までが2ヵ月であれば、同様に

   132ヵ月÷144ヵ月=0.917=91.7%です

 

 

このように考えると、最初の10年間はすぐに入居者が決まって、

満室の95%くらい、10年以降は90%くらいにはなりそうです。

 

 

 


私の所有する物件では、建築して10年後に、家賃が上がっている物件もあります。

したがって、必ずしも下がるとは言い切れません。

しかし、控えめにシュミレーションしておくべきです。

 

また、空室保証を持っている業者もあります。

空室リスクを、全体で分け合う仕組みです。

この空家保証は、②の空室リスクを保証してくれますが、①の家賃低下は保証されません。

つまり、空家にならない家賃相場に下がるということです。

(詳しくは、家賃保証(一括借上)をご覧下さい)

 

大規模修繕費

 

20年後を考えてみましょう。

入居者にとって、魅力的な賃貸住宅であるために、色の塗り直しであるとか、住宅設備の変更など、大規模な修繕が必要になる場合があります。

 

この修繕費は、収支計算書には書かれていません。

でも、実際は20年後も同じ家賃設定なら必要な費用です。

 

たとえば、昭和時代の賃貸住宅(25年前)では、

和室→洋室

というリフォームが必要となります。

新しい畳は気持いいのですが、やはり、アパートの古い物件では、敬遠されます。

 

また、トイレとお風呂、洗面が一体化したユニットバスは、敬遠されています。

しかし、スペースの制約でリフォームできないので、非常に入居率が悪くなっています。よほどの立地でないと、家賃低下が激しくなっています。

 

このように、20年後を見据えた賃貸住宅を考えることが必要になってきます(難しいのですが・・・・)。

 

 

支出項目の「落とし穴」