一括借上には、メリットもありますが、過大な期待や誤解も多いのです。
まずは、誤解をしないように、仕組みを知ってください。
よく新聞広告なので、一括借上という言葉を聞きます。やはり、アパート経営は家賃収入の保証はあるにこしたことはありませんね。
「一括借上」とか「家賃保証」とかいうのは、ちょっと誤解を招きやすい表現なので、詳しくご説明しましょう。
今、一括借上だから家賃が保証されると言われましたよね?
実は、一括借上されたからといって、20年、30年と家賃が保証されるわけではありません。
え、そうなんですか?
一括借上なら、安心だと思いました。
一括借上には、メリットもありますが、安心はできませんよ。
多くの企業の一括借上の仕組みは、次の条件です。
①最初の3ヵ月間は、家賃の免責
②2年間ごとに、家賃の見直し
③業者指定の修繕が必要
3ヵ月の免責というのは、どういうことですか?
たとえば、分かりやすくするために、家賃10万えんで4戸のアパートを考えてみましょう。
通常であれば、初年度、満室だとすれば、年間の家賃は、
40万×12ヵ月=480万
ここから、管理会社の手数料(5%)を差し引くと、
480万×95%=456万
ところが、一括借上の契約をすると、3ヵ月は家賃が入りませんので、
40万×9ヶ月=360万
ここから、一括借上の手数料(10%)を差し引くと、
360万×90%=324万
となります。
このように家賃収入が130万も減るわけです。つまり、建築業者は
来年の家賃が130万減少しても、損はしないということです。
さらに、通常ですと新築時は1ヵ月程度の礼金が見込めます。
このアパートの場合ですと、40万円になりますね。それも、
建築業者のものになるんですよ。
つまり、建築業者としては、あなたがもらえるはずの家賃を
プールしているだけなんです。
130万+40万=170万
満室年収480万で、170万プールするのは、大きいですね。
でも、家賃が保証されて、その後ずっと入ってくるのなら、
やはり、安心ですが・・・
家賃は入ってくるのですが、当初の金額とは限らないんです。
というのは、家賃は2年毎に、見直すという契約になっています。
(一部の業者では、10年固定のところもあります。お問い合わせください)
見直すということは、金額が減る場合もあるのですか?
たとえば、近隣に新しいアパートが増えてきたとしましょう。そうすると、当初の家賃では、入居が難しくなる場合もあります。
そうすると「家賃を下げずに空家のままにしておく」か、「家賃を下げて入居させる」かという選択になりますが、競合のアパートがある以上、家賃を下げないと、入居は難しいと思われます。
そうすると、家賃を10万円から8万円に下げて満室にしましょうと
いうことになります。
もちろん4室、全室を下げるのではなく、空室になって新しく客付け
するときに、相場に合わせることになります。
一括借上でも、家賃収入が減ってしますんですね。
てっきり、ずっと保証されるのだと思っていました。
たとえば、10年後に家賃相場が8万円に下がったとすると、
年間収入はどれくらいになるでしょうか?
8万×4戸×12ヵ月×90%=345.6万
当初の計画では、
10万×4戸×12ヵ月×90%=432万
の家賃収入で、収支のシュミレーションをしていたはずです。
やはり、家賃を維持できる立地、維持できる建物ではないと、
一括借上の契約をしても、事業としての経営は厳しくなりますね。
なるほど、一括借上なら安心ではなく、やはり、事業としてしっかり、
計画を立てないといけないといいことが分かりました。
それでも、私は総合的に検討した上で、一括借上を利用することのメリットが大きいと考えています。
特に、土地活用に時間や労力を割くことができない場合は、強力な味方となってくれます。
一括借上のメリットについて、次項で説明します。