相談事例

 当サイトの読者様からの相談事例をご紹介します。個人情報が特定されないように配慮していますので、ご理解ください。


(2)名古屋市M区 B様

 大手ハウスメーカーから、3Fのマンションの提案をされています。将来の収入が少ないので、少し心配です。収支計画を見てもらえませんか?

物件の状況

 名古屋市内だが都心部ではない立地

 土地面積は広く南向き 

 重量鉄骨3Fで、3億円超の大型案件

 親世帯の住居(オーナールーム)付き


土地オーナー様の要望

 当物件の収入でマイホームを建築費(住宅ローン)にあてたい

 

 オーナールームを賃貸部分の収入でまかなうために、大型物件の方が有利です。そのため業者は大きな物件を提案したようです。立地からファミリー向けの2LDK14戸とオーナールームの併設物件です。


 当プランは収支を見かけ上黒字に見せるために、やや高めの家賃が長期間継続というシミュレーションでした。近隣の空き地を考えると、将来の新築物件が競合になる可能性が高い立地です。新築時の家賃はともかく、長期的には家賃低下を考えた方がベターです。また、駐車場は郊外立地なのでファミリー向けなら1戸あたり1台プラスアルファがあった方が良いと思います。植栽やフリースペースは最小限にして軽自動車用の駐車スペースを作ったほうが、コストもかからりません。

 また、営業担当者は修繕費は30年かからないと言っていたそうですが、エアコンや換気扇などの修繕はかならず発生するとお伝えしました。

 その他、防犯施設、測量費、地鎮祭などの費用、予備費などが見積もられているのか確認が必要です。


 若干の見直しをすれば、ハウスメーカーは工期が早いというメリットがあります。親世帯の引っ越しなどを考えると、工期期間は短い方が良いでしょうから、オーナールームの仕様などを見直して、値引も含めて再検討が必要です。

 オーナールームを15万の家賃としても現状では単純利回りで6.6%(実質6%未満)、最低でも7%程度になるように目標を設定してはどうでしょうかと、アドバイスしました。

 

(1)名古屋市M区 A様

 駅から徒歩3分の良い立地を最大限に活かしてマンション経営をしたいと考えています。なかなか相手先が要望を聞いてくれないので、よろしくお願いします。

物件の状況

 地下鉄駅から徒歩3分の好立地

 土地面積130坪

 北側、西側道路

 

土地オーナー様の要望

 将来的な収入が得られる

 自宅兼用

 介護サービス系にも興味あり

 全額借入

 

 このオーナー様は女性で自分で仕事もされており、営業能力もある方でした。超大手の不動産会社の等価交換や、大手業者の介護施設も検討されたようですが、それらの業者は、もっと広い土地が希望ということで話が進展しなかったそうです。

 

 オーナー様の希望をヒアリングし、「出来るだけ容積率を最大限に使う高層マンションの建設を検討してみましょう」ということになりました。

 

【コメント】

 「収入額」を大きくするためには、規模の大きなものの方が有利です。その分、リスクも大きくなりますので慎重な計画が必要となります。

 大手ハウスメーカーB社、賃貸専業大手のC社、D社、賃貸専業のE社、中堅総合建築業のF社にプランの作成を依頼しました。

 各業者は直接オーナー様に営業するのではなく私にプランを提出するので、オーナー様は時間をとられたり、しつこい営業に困ったりすることはありません。また、最後にお断りすることがないので気楽に多くのプランを検討することができます。

 提案されたプランは次の通りでした。

B社

1フロア南北振分4戸のRCマンション

得意とする鉄骨造の西向きのアパート

C社

 全額借入は難しいとの判断で辞退
D社 南向き10F建てのRCマンション(1フロア1K4戸が基本)
E社 南向き10F建てのRCマンション(1フロア1K4戸が基本)
F社 西向き8F建てRCのマンション(1フロア1LDK4戸が基本)

 各プランのメリットとデメリットをオーナー様に説明しました。ポイントは次の点です。


(1)自社で客付け業者も持っているとことの方が、一般的には客付け能力が高い。

(2)客付けは保証人無しでもたくさん入れるべきという企業と、

   保証人を立てる人しか入れない企業と二つの方針があること。

(3)将来、南側に建物が立つ可能性があること。

(4)長期的に考えて、修繕費を積み立てるべきであること。


 南側に建物が建った場合の家賃低下については、5年後、15年後、25年後に建った場合を想定してシミュレーションを行いました。

 オーナー様も同居するので、保証人を立てる方針を選ばれました。


 その後もヒアリングを重ねた結果、オーナー様はこの中で、E社とF社のプランを検討したいということでしたので、営業担当者を紹介しました。



 一方でオーナー様は介護業者の勉強会に参加されていました。その業者にプランをお願いしたところ、介護施設よりも一般のマンションの方が良いとのことで、マンションの提案があったそうです。その後「商談には取締役などがずらっと囲んで断りにくい雰囲気なので、立ち会ってもらえませんか?」とのご依頼がありました。あいにく仕事が入っており同席できませんでしたが「とにかく印を押したら違約金などが発生するので、納得できない場合は印鑑だけは押さないように」と助言しました。気になっておりましたが、当日はひどい雪で商談にこられなくなり、その後話はなくなったとこのことです。電話では前にいったん断っていたので、もうあきらめたのでしょうか?

【コメント】

 無理な営業をする場合があるのは事実です。しかし納得した契約をしないと後悔することにもなりかねません。契約に不安な場合はご連絡ください。

 


 オーナー様はE社、F社の建物の見学をしたりしながら、デザインの感性の高いE社で契約をすることに決断されました。F社の方には私の方からお断りの連絡をしました。

 長期的な収支はほぼ同等でしたがE社は南向き、F社は西向きと難しい決断だったと思います。


 投資総額で3億円以上と普通の女性ではなかなか決断できない案件でしたが、自ら事業を行っていたオーナー様ならではの決断力だった思います。

 その後も建築期間の資金の相談を受け、融資銀行へ同席しました。すべて整い融資実行となりました。

 


【今回のポイント】


(1)目的を明確にする

 ・できるだけ、土地を有効に活用したいという希望がありました。

  あとはリスクとのバランスになります。

 【コメント】

 ・目的が不明確だと判断に迷ってしまうことがあります。

 ・迷った場合は、もう一度原点に戻って考えてみることが大切です。

 ・そして、迷ったままの契約はできるだけ避けましょう。


(2)複数のプランを検討する

 ・今回は業者によって南向き、西向きと意見が割れました。

 ・いろいろなプランを検討することで、納得するものを選ぶことができます。

  (もちろん、多過ぎると迷って決められないことにもなります)

 ・横並びで検討すると、たとえば不動産取得税が見積もられていないとか、

  修繕費の見積もりが他社と比べて少なすぎる、ということに気が付きます。


(3)担当者との相性もある

 ・決断するには、納得するまで担当者に質問して確認したいものです。

 ・話しやすく、誠実に答えてくれる人に担当してもらいたいものです。

 ・数字などの具体的な質問と違い、デザインやイメージの質問は、担当者との

  相性も大切かもしれません。